背景
幼児期において、「身近な動物、自然とのふれあい」のもつ意味は非常に大きいと思います。 10歳までの間が最も大切な「社会科の感受性期」とされています。 この時期に子どもは、親兄弟や友達、学校の先生や周囲の人々、さまざまな動物や自然とのふれあいを通じて、 命の大切さ、思いやり、正義感、自尊心、自と他などを体感体得し、社会性や、主体性ある人間性を身につけていきます。 何でもスイッチひとつで出来てしまう豊かなこの時代に、何の苦労も無く目的地にいける車の時代に生まれ育った子どもに、 今必要な事は、自然とふれあうこと、さまざまな生活体験をすること、そして試行錯誤を重ねながらも周囲の大人や子どもと、 良い関係を築いていく機会を与えてあげることだと思います。
問題認識
ところが、近年、子どものために動物を飼う家庭が少なくなくなり、そのために、子どもの心の教育を重要視した文部省の学習指導要領では、学校での生活科の体験授業の中に、動物飼育が組み込まれた経緯がありました。いろんな問題があるのでしょう。現在では、私たちのこの田舎でも学校での動物飼育はほとんどなくなりました。 また一方では、自然の中での体験が少なかった親は、遊び方を知らない。キャンプに行ってもキャンプ場でバーベキューをするだけで、まわりの森の中に入ろうとしない。 こうした、動物とのふれあいの場を作ることや、自然の中でのいろんな体験へ導くことは、過去に多様な豊かな体験をしてきた地域のシルバー世代の責務であると自覚し、提案いたします。
具体的取組み
子どもたちが、高齢者の方が、身体の不自由な方が日常的にアクセスできる場所に自然があることが必要で、あさぎり町深田の庄屋橋から下流の、球磨川の右岸河川敷の雑草地・竹林を活用しています。 人間が自然と、動物と深く関係をもって、共生していることを体感体得できるゾーンとしました。 身近な「動物とのふれあい」の場として、雑草地に山羊を放牧しております。 山羊が生い茂る雑草を食べ、きれいにしてくれます。(現地の草は、ほとんど山羊が食べる雑草です。) 身近な「自然とのふれあい」の場として、下記の球磨川の水辺空間散策コースを設定しており、ボランティアの協力を得て、実現にむけて作業を続けております。
- 雑草地を周遊する散策コース
- 球磨川と同化する散策コース
- 竹林の中の散策コース
来場者全員に、自然・環境を大切にする心を育む指導をします。
- ふれあい広場だけでなく、その周辺のゴミ収集等の環境美化への取り組み
- 景観形成への取り組み
期待される効果
- 身近な「動物とのふれあい」の場
動物とのふれあいの中で、生き物の成長を喜んだり、見たり、触れたり、聴いたり、匂いを嗅いだりなどして オモチャのように扱っていた動物を生命あるものとして受けとめ、自分以外の相手をいたわり、思いやる心を育み、また、ものいえぬ動物側の立場になってものごとを考えたり、感じ取ろうとする感性の豊かさが、次第に培われていく、豊かな人間形成の基礎を培うことが期待できます。
- 身近な「自然とのふれあい」の場
幼児期の自然体験が豊かな子どもほど、電車やバスで席を譲ったりする割合が高いという、教育的効果の報告もありますが、それ以前に、自然とふれること自体が、豊かな体験であることに間違いありません。身近にそんな環境を作り、自然とのふれあいの機会を与えることによって、子どもだけでなく、大人においても、人への思いやりを育み、人間性の回復や休養に役立ちます。
これからは、健康、教育、福祉などの、さまざまな場面で、自然とのふれあいを通じて、自然から学び癒される機会を増やしましょう。