敗戦後の傷跡から立ち直りつつある昭和25年の全国の山羊の飼養頭数は約41万頭、その後昭和32年には67万頭とピークを示し、
農村地域における国民の貴重な栄養供給源として重要な役割を果たしてきました。
それが昭和40年代以降になると、農村の近代化に向け、より効率の良い牛や豚の生産が拡大するに従って山羊の飼育頭数は減少し、
平成19年には1万5千頭となり、山羊の姿は日本からまさに消し去られようとしていました。
一方、海外においては、世界的な食糧不足を背景に、アフリカやアジアを中心に山羊等の小型草食家畜の飼育頭数が増加傾向になっており、牛の飼育頭数を上回っています。
現況
近年、わが国においても人の食料と競合することなく、豊富な草を利用して乳や肉を生産できる山羊の飼育が見直され、若干の頭数回復が見られるようになりました。
この変化は下記に分類することができます。
- 山羊ミルクへの関心の高まり。山羊ミルクはその組成が母乳に近いため、牛乳アレルギーを持つ乳幼児に対して安心して与えることができます。
- 健康食としてのヤギ肉需要の高まり
- 山羊の粗資料利用性が高いことを活用して、耕作放棄地や遊休農地等の草刈に利用
- その愛らしい姿・人なつっこい性格から、子供たちの情操教育などに活用
そしてそれぞれの分野で、山羊による地域興しの試みが全国各地で始まっており、山羊さん復権の兆しが見えてきました。
≪山羊さんによる地域づくりプロジェクト≫
上記1~3の事業を「あさぎり せいりゅう」で取り組み、
4の事業を「あさぎりプロジェクトA∞チーム」で取り組みます。
「あさぎりせいりゅう」の取り組み
⇒ 【山羊畜産トライアル事業】
[1-1]生草を100%与えても、青臭くない山羊乳の生産ができる独自の技術を活かす
[1-2]舎飼いよりも、ビタミンEやβカロチン、そして乳脂肪中のCLAが多いと言われる放牧を行う
[1-3]山羊乳は、65℃で30分の低温殺菌を行い、脂肪球が小さいのでホモジナイズはしない
[1-4]α-S1カゼインなどのアレルゲン物質が少ない山羊乳の特徴を活かし、牛乳でアレルギー症状が出る人に貴重な栄養摂取源としての山羊乳及びその加工品を提供する
[1-5]生クリームを使わないこだわりアイスクリームの開発(栗・さつまいも等のペースト使用)
[1-6]減塩できて、たんぱく質・カルシウムを摂取できる山羊乳和食の薦め
[2-1]生草を100%与えても、青臭くない山羊肉の生産ができる独自の技術を活かす
[2-2]固くない山羊肉調理方法の確立
[2-3]味噌味の山羊汁レシピ作成
[2-4]山羊の骨スープレシピ作成
[3-1]山羊のレンタル及び販売
[3-2]山羊での草刈り請け
「山羊のいる球磨川」の取り組み
⇒ 【ボランティアでの「動物と自然とのふれあい体験」事業】
[1-1]アニマルセラピーによる癒しで、多くの出会いと人脈づくり
[1-2]教育に寄付する山羊飼養
[1-3]ストレスに悩む児童対策への協力